閑吟集 二八〇/三一一 閑吟集280
この歌のごとくに 人がましくも言ひ立つる 人はなかなか我がためは 愛宕(あたご)の山伏よ 知らぬことな宣(のたま)ひそ 何事も 言はじや聞かじ白雪の 言はじや聞かじ白雪の 道行ぶりの薄氷 白妙の袖なれや 樒(しきみ)が原に降る雪の 花をいざや摘まうよ 末摘花はこれかや 春もまた来(き)なば都には 野辺の若菜摘むべしや 野辺の若菜摘むべしや
閑吟集(全三一一首)をひとつづつアップしてます。
毎回即興にてご容赦。
中世のいきいきとした歌謡集「閑吟集」は、相手を想わずにはいられない人間の機微、人生の真髄を突くひと言、そのおおらかさについ笑みがこぼれるおちゃめで色っぽい歌まで、多様性に富んだ歌が並んでおり、書いていて楽しいです。(田坂州代)