二〇一六年九月十一日
閑吟集 〇八九/三一一 閑吟集89
げにや寒竈(かんそう)に煙(けぶり)絶えて 春の日のいとど暮らし難(がと)う 幽室(ゆうしつ)に燈火(ともしび)消えて 秋の夜(よ)なほ長し 家貧(ひん)にしては信智(しんち)少なく 身賤(いや)しうしては故人疎し 親しきだにも疎くなれば よそ人(びと)はいかで訪(と)ふべき さなきだに狭(せば)き世に さなきだに狭(せば)き世に 隠れ住む身の山深み さらば心のありもせで なほ道狭(せば)き埋れ草 露いつまでの身ならまし 露いつまでの身ならまし
閑吟集(全三一一首)を毎日ひとつづつアップしてます。
毎回即興にてご容赦。
中世のいきいきとした歌謡集「閑吟集」は、相手を想わずにはいられない人間の機微、人生の真髄を突くひと言、そのおおらかさについ笑みがこぼれるおちゃめで色っぽい歌まで、多様性に富んだ歌が並んでおり、書いていて楽しいです。(田坂州代)
閑吟集 〇八九/三一一 閑吟集89
げにや寒竈(かんそう)に煙(けぶり)絶えて 春の日のいとど暮らし難(がと)う 幽室(ゆうしつ)に燈火(ともしび)消えて 秋の夜(よ)なほ長し 家貧(ひん)にしては信智(しんち)少なく 身賤(いや)しうしては故人疎し 親しきだにも疎くなれば よそ人(びと)はいかで訪(と)ふべき さなきだに狭(せば)き世に さなきだに狭(せば)き世に 隠れ住む身の山深み さらば心のありもせで なほ道狭(せば)き埋れ草 露いつまでの身ならまし 露いつまでの身ならまし