閑吟集 〇一九/三一一 閑吟集19
面白の花の都や 筆で書くとも及ばじ 東には祇園・清水 落ち来る滝の音羽の嵐に 地主(じしゅ)の桜は散り散り 西は法輪・嵯峨の御寺 廻らば廻れ水車(みずぐるま)の(輪の)臨川堰(りせんせき)の川波 川柳(かわやなぎ)は水に揉まるる 脹(ふく)ら雀は竹に揉まるる 都の牛は車に揉まるる 野辺の薄は風に揉まるる 茶臼(ちゃうす)は挽木(ひきぎ)に揉まるる げにまこと忘れたりとよ 小切子(こきりこ)は放下(ほうか)に揉まるる 小切子の二つの竹の 世々(よよ)を重ねて うち治めたる御代(みよ)かな
閑吟集(全三一一首)を毎日ひとつづつアップしてます。
毎回即興にてご容赦。
中世のいきいきとした歌謡集「閑吟集」は、相手を想わずにはいられない人間の機微、人生の真髄を突くひと言、そのおおらかさについ笑みがこぼれるおちゃめで色っぽい歌まで、多様性に富んだ歌が並んでおり、書いていて楽しいです。(田坂州代)